人を育て、桜を育てることで、 人を育て、桜を育てることで、

国道6号線に世界に誇れる桜並木を。
活動の原点は子どもたちの声に耳を傾けること。

西本さんは3児の母として、広野町で「交通安全母の会」を結成して交通誘導を行っていました。そうした中、ひとりの高校生の「働く場所や大人に意見を言える場所がない」という声に耳 を傾けたことが 活動の原点です。福島県浜通り地方を南北につなぐ総延長168㎞の国道6号を「みんなで一斉に清掃し綺麗な道路にして地元を明るくしたら、雇用も生まれるのでは」という高校生の声を聞いて始めたのが「国道6号の清掃活動」です。また、「まちづくりに興味があるのに、大人から相手にされない」という声を聞いて始めたのが「ハイスクールサミット」です。地元の高校生にアンケート調査を行い、彼らのやりたいことと向き合い思いを 受け止め、自分 たちやりきれないところを大人がサポートする。それが結成当初から続く基本姿勢です。

子どもたちの声に耳を傾け、成長を第一に考える活動の原点について語る西本さん。

子どもたちの声に耳を傾け、成長を第一に考える活動の原点について語る西本さん。

ひとりの高校生の願いが、多くの大人を動かし、
世界が注目するプロジェクトに。

国道6号線に桜を植えるきっかけも高校生でした。「日本人の魂とも言える桜で国道6号線をつなげば、町が明るくなって全世界が注目してくれる!」そんな夢を西本さんたちが受け止めて奔走し、ようやく実現の目処が立った矢先に震災が発生。プロジェクトは休止を余儀なくされます。避難生活でメンバーがバラバラとなる中、西本さんはその学生が津波で亡くなっていたことを知ります。「仮設住宅で暮らしている時、富岡町の夜ノ森の桜が、誰もいないところで静かに咲いているのをテレビで見て、あの子との約束を果たしたい。世界一美しい浜街道にしたいと思ったのです。」しかし、国道6号線沿いに約2万本もの桜の木を植える壮大な計画です。資金集めから苗木の調達、場所の許可取り等、課題は山積でした。それでも、西本さんを中心に、何度も行政や企業等へ出向いたり、メディアを通じて全国に情報発信したりして少しずつ賛同を集め、2013年に行政、企業、団体等、多くの支援のもとで植樹が始まります。

広野町にある事務局には、これまでのあゆみが年表と写真で一望できる。子どもたちを中心に多くの人々を巻き込み、地域づくりに貢献してきた。

広野町にある事務局には、これまでのあゆみが年表と写真で一望できる。子どもたちを中心に多くの人々を巻き込み、地域づくりに貢献してきた。

桜の木々を語り部として、
30年後も浜通り地方に活力を。

「ふくしま浜街道・桜プロジェクト」は2022年時点で14,000本の桜が植えられ、全国8,000人以上の会員と進められています。このプロジェクトをはじめ、清掃活動やイベント等、多彩な取り組みの起点はすべて子どもたちの想い。なぜこれほど子どもたちに寄り添い、実現へと並走できるのでしょうか。「家庭ではできない教育を、地域の中で行いたいのです」と西本さんは語ります。家庭とも学校とも異なる地域の中で、人と協調しながら自分が本気でやりたいことを見つけ実現していく。その経験が人生の大きな糧になります。そうした震災前からの地域での教育が復興を後押しし、次世代を育成しています。「県外に進学した子が、帰省時に活動に参加してくれています。『30年後、花が満開になるときに、自分の子どもと来るからね』そう言ってくれる子もいます。」西本さんたちが植えた桜の木は、毎年春には満開の花を咲かせ、まるで語り部のように、浜通り地方の子どもたちの成長を見守る大人たちの願いを伝えていくに違いありません。

10周年を記念に発行された絵はがき。満開の桜の花の写真に、10年間の感謝と20年後に向けた希望の言葉が添えられている。

10周年を記念に発行された絵はがき。満開の桜の花の写真に、10年間の感謝と20年後に向けた希望の言葉が添えられている。

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